さあ今日はカロリンにサプライズでプレゼントする日だ。帰ってきてから箱やリボンといった装飾を用意した。喜んでくれるだろう。
「やあカロリン、久しぶり。元気にしてたか?これガルーアイランドのお土産だ。いつもありがとうの礼も兼ねてな。」
「あ、ありがとうございます。開けてみますね。」
カロリンが開けるのを待つ。楽しみだ。
「あの、分析員。これは電気ケトルですか?」
「ああ、いつもお世話になっているからな。ガルーアイランドにあるアヤメ人の遺跡で拾った電気ケトルだ。どうやら今カロリンが持っているものと比べてパワーアップしているみたいだぞ。特にドローン技術の応用で空を飛べて攻撃もできるのは素晴らしいと思ってな。」
「ア、アヤメ人の」
「そうだ。これでカロリンも、ケトルで休んでいる時に会社が襲撃されても戦える。ぜひ開けて感想を聞かせてくれ。本当にカロリンにはいつも助かってるよ。最近ヒーラが現れた時もーー」
「……なぜ電気ケトルを?」
「ーーすぐにアカシアを派遣してくれて助かったよ。あの娘はナイフでワンパ……」
すごいジト目で見られている気がする。あ、あれ?
「……なぜ電気ケトルを?」
圧を目の前の社畜幼女から感じる。助けてエッダちゃん。
「えっと、いや、いつもケトルで休んでるからそろそろもっと寝心地のいいケトルにしたらどうかなと」
「今まで生きてきて、布団で寝るかの如くケトルの寝心地を語られるとは思いませんでした。というかそんなに休んでほしいなら残業減らしてくれません?」
「あっ」
場に沈黙が落ちる。アヤメ人、なんてことをしてくれたんだ……
「一応言っておくとこれ作ったアヤメ人は悪くないですからね。いや、電気ケトルに使う技術じゃない気はしますけど」
「ハイ、カロリン様。これから全身全霊、粉骨砕身、電光石火でカロリン様の有休を何があっても、例え明日ユミルが現れたとしても最優先で取得させていただきます」
「いえ、休暇中もタスク溜まって休暇明けが地獄なので遠慮しておきます。というかユミルが現れたら対処してください。まあ、でも……」
おや?カロリンがケトルから目だけ出してこっち見てる。
「でも……?」
「……でも、分析員がきちんと考えてくれたお土産なので大切にします。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」
おお、助かった。ありがとうエッダちゃん!
以降、アヤメ人電気ケトルで休んでるカロリンが見られるようになった。
あとがき
「私も電気ケトルで休みたいです!」って思いを込めて書きました。
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