スノブレSS三作目
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シーリスはメガネを装備した!
シーリスは先天的に記憶忘却症状を持っている。そのため、定期的にカメラで様々なことを記録して思い返せるようにしているのだが、そんなシーリスを見て姫辰星は考えた。
(もしかしたら、カメラよりもドローンやメガネの方がいいかもしれません)
ドローンが出来事を自動で録画したり、眼鏡が見たものをそのまま記録してくれたりすれば便利そうである。
日々シーリスが行なっているラベリング(作業ももっと容易になるのではないか、姫辰星は名案とばかりにフリティアの元まで相談しに行った。
フリティアの研究室の前についた姫辰星であったが、フリティアの悲鳴が聞こえてきた。
「ちょっ、ベラドンナ、うわっ!」
フリティアがベラドンナと仲のいいことは周知の事実である。この悲鳴も姉妹仲がいいだけだろう。だが、果たしてその空間に入っていいのか、真面目な姫辰星は少し悩んだ末に入ることにした。
「フリティア、失礼し―」
―姫辰星は見た。ベラドンナにヘッドバンディング(されているフリティアを。
「いやー。ひどい目にあったよー。ちょっとベラドンナをいじろうとしただけなのに」
優雅に紅茶を飲みながらフリティアは語る。
「何しようとしたんですか?」
「連装ビームにしたらもっと強くなりそうだなって思って、改造しようとしたら頭突きされた。フリティア先生もまだまだ修行が足りないね☆あ、姫辰星も紅茶飲む?」
フリティアは顔だけ姫辰星に向けながら紅茶をすすめた。
「あ、じゃあいただきます。あと、フリティアに用件がありまして」
姫辰星は用件を説明する。シーリスが楽になるように、ドローンやメガネで日々の出来事を記録したほうがいいのではないか、ということを。
「おー、確かに名案だね!よし、このフリティア先生に任せて!とりあえずここにベラドンナ試作型があるからこれを使おう」
「ビームとかEMP装置とか、妙な装備とかつけないでくださいね?前回のベラドンナの際に大分暴れたとお聞きしたので……。普通にカメラとイベントを記録する機能があれば十分です」
「あ、あれはちょっといろいろあったんだよね。まあ心配ご無用で任せてよ!」
「ではお願いします。」
(これでシーリスはだいぶ日々の作業が楽になるはずです。)
姫辰星は期待に胸を膨らませていたが、翌日フリティアはとんでもないものを持ってきた。
「じゃーん!プロも顔負けの動画を撮ってくれるドローンだよ!日々の記録はもちろん、ついでに戦闘記録も逐一記録してくれる優れ物!ビームもつけたかったけど、昨日言われたからやめといたよ!代わりに、シーリスの貼るシールドの硬さを倍にできる機能つけといた!」
何かがおかしい、姫辰星はシーリスがカメラで日々やっていることを代行してくれるドローンを求めていたのであって、決してプロ並みの撮影技術を持つドローンやシールドを貼るドローンを求めていたわけではない。
やはり何かがおかしい。
「あの、これは」
「ん?シーリスの行動を録画、記録してくれるドローンだよ」
「プロも顔負けの動画とは」
「せっかくならかっこよく撮りたいじゃん?」
「シールドが倍になるというのは」
「せっかくだしつけてみた!」
姫辰星は頭を抱えた。天才はベクトルを間違えるとこうなるのか、と。
「あの、もう少し簡素なドローンを……」
「結構控えめな性能してない?」
「してないです」
ここまで高性能なドローンをシーリスに渡したら遠慮されそうである。
「うーん、だめなのか……じゃあ次はメガネで装置つくってみるね!」
「次こそはお願いします」
「任せて!」
1週間が経った。フリティアに「開発は1週間くらいかかるかも」と言われたからであるが、姫辰星はこの1週間、どのようなメガネがくるのか気になって仕方なかった。
あのフリティアである。また何か変な機能をつけてくるのではないかとずっと思っていた。
シーリスが持っているのはショットガンなのに、変な倍率機能を追加してきたらどうしよう、とか。メガネで何かを視線誘導ができる機能があったらどうしよう、とか。
何はともあれ、今日こそちゃんとしたのを持ってきてもらいたい。シーリスに遠慮されないようなものを。
そう思いながら、姫辰星はフリティアの部屋へと向かった。
「フリティア、失礼し―」
―そこでは二つのベラドンナがぶつかりあっていた。結構な勢いでお互い衝突を繰り返している。
「ちょっとそっちのベラドンナ、ストップ!ストップだよ!喧嘩はダメ!」
「あのフリティア、これは……?」
姫辰星が困惑してフリティアに尋ねる。
「あ、辰星。試作ベラドンナを使って前にシーリスに向けて作ったドローンを完成させたら、ビーム撃つ方のベラドンナと喧嘩しちゃって」
「なんですかそれは……」
「ま、まあまあ。あの二人のベラドンナはさておき、これが約束のメガネだよ!ちゃんとシーリスの視界を録画、録音してその時の出来事を記録してくれるよ!他の機能はつけてないよ!」
後ろでベラドンナ同士がぶつかり合う音をbgmに、フリティアは姫辰星に向けてメガネを渡した。
「ありがとうございます。他の機能がついていなくて安心しました。ついているとシーリスが遠慮しちゃいそうなので」
「まあほんとは16倍率の可変レンズをつけたり、いつかユグドラシル社が巡航ミサイルでも導入したら、それの終末誘導ができるような機能を追加しようと思ったんだけど、怒られそうだからやめといた☆」
「賢明な判断ですね。」
「でしょー。というわけで私はベラドンナたちを止めてくるからあとは頼んだ!」
まるで「殿は任せろ、先に行け」とばかりの雰囲気を出してベラドンナの仲裁に入るフリティアを見ながら、姫辰星はシーリスの元へと向かった。
「ちょ、ベラドンナ!止まって!一回話し合おう!私が仲裁するから!」
「シーリス、どうぞ、私からのプレゼントです。いつもありがとうございます。」
「おー辰星だ。プレゼントくれるの?私に?」
「ええ、いつもお世話になっているお礼です。」
「やったー、ありがとう!」
姫辰星はシーリスを見つけてメガネをプレゼントした。
「早速つけてみてもいい?」
「ええ、実際につけてみて感想を聞かせてもらえれば」
「おーすごいねーこれ。自動で録画して記録までつけてくれるんだ。ん?もしかして……?」
プレゼントした理由に勘付いたシーリスに、姫辰星は恥ずかしそうに答える。
「え、ええ。もしかしたら普段のラベリング作業が楽になるかもと思いまして……」
「うわー!本当!?辰星ありがとう!よし、じゃあ早速記録しよう。」
しかし、そこでシーリスの動きがピタッと止まる。
「シーリス、どうかしました?」
「辰星、気づいたんだけど、これだと自分自身撮れなくない?」
「あ」
姫辰星は失念していた。ツーショットとかが撮れないということを。
「ごめんなさいシーリス。完全に失念していました。」
「いや大丈夫だよ!こういう時は普段通りにカメラ使えばいいし。ということで辰星、はいチーズ!」
(シーリスが喜んでくれて本当によかったです)
このツーショットは、現像されてシーリスの部屋に飾られているという。
メガネとともに。
あとがき
引っ越しのいろいろで忙しく遅れました。
次は何書きましょう。アカシアが最推しなので何か書きたいですね。
ところで、スノブレのFAは多いのになぜSSは少ないのでしょう。みなさん書きましょう!
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